オランダの蒐集家Sara Rothéの作品 cc-by-sa-2.0| Niek Sprakel ドールハウスと聞くと、子供のお遊びという印象を持たれることもあるかも知れません。 しかし、精巧で複雑な装飾を施したドールハウスは、時に息を飲むほどに美しく、 大人の愛好家が数多くいることにも頷けるはずです。 起源は400年前にヨーロッパに登場したベビーハウス(baby house)。 “理想”の家具を並べて作るのが一般的でした。 (ミニチュアの起源はもっと古く、古代エジプトにまで遡るとも言われます) 現代のように、より現実に近い家具や装飾が好まれる傾向は、 実は、18世紀(1700年代)から始まったものなのです。 日本で紹介され、広まったのは1970年以降のこと。 元々、裕福な家庭での嗜みの1つでしたが、大量生産が可能になり、 ドールハウスは一般家庭でも受け入れられるようになりました。 それでも手作りのドールハウスには、大量生産には無い深い味わいがあります。 本日は、【世界を代表する美しいドールハウス】を2つ、ご紹介致します。 ドールショップに立ち寄るドール達 メアリー王妃のドールハウス~Queen Mary's Dolls' House~ cc-by-sa-2.0| Rob Sangster 1924年、当時のイギリス王妃メアリー・オブ・テックのために、 著名な建築家エドウェン・ラッチェンスによって作られました。 絨毯の生地、家具やその他の装飾に至るまで、 1流の専門家によって作られたこのドールハウスは、豪華を極めました。 高さは約1メートル、 家具や小物の中には、実際に機能するものもあり、 『弾を込め、撃てるショットガンもある』 『ガレージのシャッターは電気で持ち上がり、エンジン付きの車が現れる』 という言葉も残っています。 1924~25年まで1年間開かれた展覧会には、160万人が訪れました。 現在は、イギリス王室所有の美術品として、ウィンザー城に展示されています。 ちなみに、美しいイギリス式庭園が現れる秘密の引き出しがあるのだそう・・・ cc-by-sa-2.0| Linda Bailey アストラットドールハウス城~Astolat Dollhouse Castle~ cc-by-sa-3.0| Milofree 見た目にも面白い構造をしたこのドールハウスは、 彫刻、芸術、工業技術が最高度に融合しており、 世界で最も価値があるドールハウス、と言われています。 公式の鑑定額は、日本円で約10億円($8,500,000)。 “類を見ない”という形容詞も、決して大げさではありません。 象眼模様の床に、鏡、壁紙、電球、全てが美しく揃う cc-by-sa-3.0| Milofree 1974年~1987年の13年の歳月をかけ、Elaine Diehl主導のもと、 世界中の選りすぐりの職人からの協力を得て完成しました。 全長2.7メートル、29部屋を持ち、 広間、廊下、窓、待合室まで作り込まれ、油絵や紙幣まで精巧に仕上げられました。 3万点以上の家具小物が代わる代わる展示される cc-by-sa-3.0| Milofree 360度全ての角度から楽しめるように設計され、 何もかもが一流で手作りのこのドールハウスをじっくり見てみようと、 今なおたくさんの人が訪れています。 クリスマスに向けて、チャリティーツアーで世界を巡るという情報も。 ツアー参加のためには、事前のメール連絡を忘れずに。 図書室――地球儀、植物、絵画、犬、声の出ないほどの再現度 cc-by-sa-3.0| Milofree |