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車輪とドライバーをむき出しにし、速度と加速度を究極まで追求したフォーミュラカーによる自動車競技フォーミュラレースは、圧倒的な迫力とドライバーの華やかな活躍で、日々ファンを獲得し続けます。
モータースポーツの最高と呼ばれるフォーミュラ1(F1)を主催する国際自動車連盟(FIA)は、2012年夏、化石燃料を使用しない電気自動車フォーミュラカーのみを使用したレース「フォーミュラE(Formula E)」の主催を宣言しました。
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騒音・排気ガス・会場設営コスト、全てが莫大だったこれまでのフォーミュラレースに比べ、フォーミュラEは騒音を抑えられ走行時にCO2などを出さないことから、北京・モスクワ・ベルリン・パリなどの世界的な大都市の真ん中で開催出来るのも特徴です。
そしてまさに今、昨年大喝采で幕を閉じた第1シリーズに続く第2シリーズが、アジア、ヨーロッパ各国で開催されているのです。
一夜にしてレース会場に様変わりする有名都市
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F1に比べると遥かに低い運動性能を持つフォーミュラEの自動車では、従来のように常設のサーキットではなく、公道を利用したレースが盛んに行われます。
各会場で行われるレースは1日のみ。普通の生活の場だった市街地が一夜にしてレース会場に変わり、古く歴史ある建物の合間を縫ってフォーミュラカーが走行する様は圧巻です。
特筆すべきは、4月23日にパリの中心地で行われたレース。
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世界的に有名なエッフェル塔を常に視界にとらえることの出来るサーキットは、街角のカフェの前も過ぎれば、ナポレオン・ボナパルトやその他著名な将軍の眠るオテル・デ・ザンヴァリッドの前も過ぎます。
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歴史も日常も巻き込んで、最新の電気自動車が速さを競い合う光景は、筆舌に尽くしがたい感動をもたらすはずです。
SNS利用、自動充電・・・何もかもが次世代を行く
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電気自動車を利用した公道レースというコンセプトで、一般観衆の広い支持を得るフォーミュラEは、時代の最先端で進化を続けます。
例えば、SNSを通じて、誰もがレースに参加できる「ファン・ブースト(Fan Boost)」制度。仕組みはいたって単純。
あなたはSNSで自分の好きなドライバーに投票をし、レース開始6分後までに集まった票を集計し、人気上位3名のドライバーはレース中に1度だけ最大出力を上げることの出来る特権(Extra Boost)を手にします。
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また、現在は搭載バッテリーの充電量の限度を理由に、レース中に車を乗り換える必要あるフォーミュラE。しかし、近い将来には、コース上に給電レーンを設置して、走行中に自動で充電することの出来る「ダイナミック・チャージング(Dynamic Charging)」の導入を目指しているとか。
そのほか、無人レーシングカーを利用した「ロボレース」を同時開催するなど、幅広い取り組みで新たなファンの獲得に尽力するフォーミュラE。
2015年には、六本木のけやき坂でのデモ走行でも大きな話題となりました。
日本のどこかの市街地をフォーミュラEカーが競い走り抜ける日も、そう遠くはないでしょう。
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