こんにちは、古新聞を眺めながらうたた寝をしている龍之介です。
今日は、皆さんにもその香りをおすそ分けしたいと思います。

1939年――戦争の渦が世界を呑み込み、日本以外が「風と共と去りぬ」に沸いていた時、
アメリカのとある週刊新聞は、次のような特集を打ち出した・・・・・・

「1939年、最も奇妙だった事故集」

分かりやすいイラスト、太字の見出し、白と黒を基調とした紙面、謎のシミ・・・・・・
1939年の珍事故を一目で振り返ることが出来てとても便利ですね。

当時の市民の起こした事故が、4コママンガ形式で紹介されています。
それでは、1つ1つ詳しく見てみましょう。

まず1つ目は、
巣の修復中、枝と間違え未使用マッチを拾い、家を燃やしてしまった小鳥・・・

ドジですね。かわいいですね。

そして2つ目、
倒れた電柱で4000ボルトに充電された有刺鉄線に水をかけてこの世を去った牧場主・・・

ちなみに、原因の電柱を倒した犯人は彼自身だそうです。
ドジですね。かわいいですね。

華やかな3つ目、
走行中の車に衝突するも、サドルにまたがったまま屋根に“着地”した男性・・・

ぜひ、アクロバティック・チャリンコライダー Mr. ジョセフ(実名)と名付けましょう。

ご覧の通り、1939年のアメリカは、歴史に残る大事故に満ちていたようです。
しかし、1939年アメリカの底力はこんなものではありません。

私はある1つの記事に目を止めました・・・・・・

“A Woman's Hat Was Set on Fire by the Sun”
「婦人の帽子、太陽光で燃え上がる」

ここまでは日常茶飯事です。

ですが、この事件を仔細に読み込んだ時、私は、人生の悲哀を感じずにはいられなかったのです。
それでは、学びに満ちた3コマを、一緒に追っていきましょう――・・・・・・

婦人の正義と紳士の涙

1939年12月15日、東海岸の寒い冬を、ミセス・ロビンソン(仮名)は恐れません。
なぜなら、透き通るようなガラスの付いたお気に入りの帽子を被ることが出来るからです。
そして、事件のあった日の昼も、ミセス・ロビンソン(仮名)はその帽子を頭に載せ、クリスマスに沸き立つブティック街を闊歩していました。

けれども、幸せな休日も束の間、婦人の頭からは煙が上り始めます。

(1コマ目)

自慢のガラスが仇となり、太陽光が婦人の帽子に集まってきてしまったのです。
しかし!婦人はまだ気が付いていません!
このままでは婦人の帽子だけでなく、ケアの行き届いた地肌にも危険が及びます!

すると、そこへ1人の男性が通りかかります。
彼は、困っている人を見ると手を差し伸べずにはいられない東海岸随一の紳士。
あわや火の手が婦人を焦がすというところで、彼は帽子を取り上げました!

(2コマ目)

もう「お見事!」としか言えません。
そして、ブティック街の人々が、男性の活躍に感激の拍手を捧げようとした、まさにその時でした!

ミセス・ロビンソン(仮名)は、お気に入りの帽子を奪った無礼な通りすがりの変人に、東海岸随一の平手打ちを食らわせたのです!

(3コマ目)

ミセス・ロビンソン(仮名)は、子供の頃から曲がったことの許せない正義感溢れる素敵な女性。
困惑して今にも泣きだしそうな帽子泥棒に謝罪させると、今日もまた1つこの世から悪が減ったことを喜びました。
そして、再びお気に入りの帽子を被り、次なる悪を正しに立ち去ったのでした。

つむじから、一筋の狼煙を上げながら・・・・・・――。


スタッフからひとこと

いかがでしたでしょうか?
今回は、1枚の古新聞から読み取れる昔の出来事を誇張して皆様にお届けしました。

古新聞とは、いつも私達に物語を伝えてくれるものです。
そして、優しさとは、いつの世も伝わりにくいものです。
その心に消えない傷を残した紳士は、どのような対応を取ればミセス・ロビンソン(仮名)の平手打ちを受けずに済んだのでしょうか?

見て見ぬふりをして過ぎ去るべきだったのでしょうか?
それとも、消防車を呼んで、婦人もろとも火を消し去るべきだったのでしょうか?

ぜひ、76年後の日本に生きる私たち皆でその答えを探してみることにしませんか?
東海岸随一の紳士は、その答えを見つけることが出来ないまま、今も土の中で悩み続けているのかも知れないのですから・・・・・・。(笑)

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