こんにちは、セカイモン編集部の龍之介です! 突然ですが、これが噂のペニー・ファージング(Penny Farthing)です。 (この神秘的な均衡をご覧ください。住みたくなるほど洗練されています) 噂になったのは、今から約100年前、19世紀後期ですが、その愛らしい形は主に私を魅了し続けております。 ペニー・ファージングが一世風靡していた時代には、街中を走り回る光景が見られ、「オーディナリー(普通)」自転車と呼ばれたほどでした。 (なんとも楽しそうな表情をされておられますね) 何かもが速くなり、安全になり過ぎてしまったからこそ、あえて遅くて、危険なペニー・ファージングが選ばれる時代が近づいていると私は思うのです。 牧歌的な時間が人間には不可欠なのだと、誰かが言っていた気がします。 それは、第2次ペニー・ファージング時代。 そう遠くない将来、「ママチャリ」、「クロスバイク」は死語となり、街ゆく自転車は皆「ペニファー」と呼ばれていることでしょう。 そんな将来に備え、愛すべきペニファーの奥深さ、現代の愛好者達の姿を追うことにしましょう・・・・・・―― (『ペニファー? 何でも略す気だな』by Ryan Johnson) ペニー・ファージングと深み 嗜むことを知る紳士淑女ならば、誰もがペニファーを選びます。 しかし、現代も紳士淑女で溢れ返っているのに、ペニファーを知る機会が無きに等しいため、下の写真のようなサイクリング風景はもはや遠い過去のものとなりつつあります・・・・・・。 (貴婦人は三輪車にご乗車です。ご機嫌ですね) (チェコの街中に佇むペニファー。住みたいですね) そもそも、何故ペニー・ファージングと名乗るのか。 理由は、当時流通していたイギリス硬貨、ペニーとファージングに形が著しく似ていたから。 愛すべきペニー・ファージングの父として名高いのが、フランスのウジェーヌ・マイヤー(Eugene Meyer)。1869年にその基礎が作られました。 その後、自転車産業界の父とも言われるジェームズ・スターレー(James Starley)が、アリエル号 (Ariel)を発明・発表し、庶民の間で爆発的人気を得ます。 当時記録された最高速度は時速約40㎞、重量だいたい11kg、後輪の直径たぶん1m以上ぐらい。 やたらと大きな前輪(ペニ)は、さらなる速度のために。 車輪が大きければ大きいほど、1漕ぎで進める距離は大きいのです。 もちろん足は届かず、ブレーキをかけると顔面から落下しますが、高くてかっこいいから全然良いのです。 心配になるほど小さな後輪(ファー)は、さらなる軽量化のために。 1輪車でも良さそうなほど主張の強い前輪の陰には、いつもこの小さな後輪がいます。 いつか自分の上にも乗ってくれることを願いながら、前輪を支えている健気な輪っかです。 ヨーロッパ人の気まぐれから生まれたジョークに見えてしまうのも無理もないですが、実は確固たるチャリンコ哲学に裏打ちされた形状だったのです。 ちなみに、フレームのでっぱりに足をかけて乗車します。 (ここらへん) ペニー・ファージングと人々の祭り 危険で、小回りが利かず、ろくにブレーキもかけられないペニファーは、人々に見捨てられました。 安全で、小回りが利いて、ブレーキがかけられる自転車の方が良かったからです。 世界初の自転車世界1周に使われたことも忘れられ、乾いた日常に冒険を求める一握りの変人にだけにしか見向きをされなくなってしまいました。 しかし、ペニファー乗りの聖地、タスマニアでは事情は違います。 世にも珍しい生態系を数多く有しているそのノリで、自転車界の異端児ペニファーまで保護してしまったようです。 毎年2月に開催されるペニーファージングナショナルカップ(National Penny Farthing Championships)には、世界各国からペニファー信者が集まります。 (服装はタスマニアンカジュアル) (タスマニアンガチ勢) (真のタスマニアン達) 老若男女問わず参加でき、様々なイベントも催されます。 ちなみに、2016年の開催も決定!! ぜひ、自分だけのペニファーを手に入れ、格安航空券とかで行ってらっしゃい! この冬、ペニファー愛好者が、タスマニアであなたを待っています! |