日本のスノーボードシーズンは11月頃から始まり、年が明けて3月頃まで興奮が冷めやることはありません。
国内における一般認知度はまだ高くはないものの、世界大会での日本人選手の活躍も注目されています。
最近では、スノーボード世界選手権スロープスタイルを17歳で制覇した鬼塚 雅さんが世を沸かしています。
あるスポーツを極めた人達の言葉はいつも明晰で、たった一言がある人の生き方を決定的に変えてしまうこともあるほどです。
そして、スノーボードも例外ではありません。
" スノーボードの革命家 ” クレイグ・ケリー
自然の山を滑るフリーライディングの生みの親として知られる伝説的プロスノーボーダー、クレイグ・ケリー(1966-2003)。
スノーボードを心底愛し、桁違いな報酬には見向きもせず、自然の険しさの中で滑るフリーライディングにこだわり続けました。端正な顔つきと圧倒的な技術力で、プロスノーボーダーの社会的認知度を一気に押し上げました。
そんなクレイグの最期のライディングは、彼の愛したカナダの雪山レベルストークにて。
多くの命を奪った雪崩に、クレイグも巻き込まれてしまいます。
彼の活躍を称えて、現代では、スノーボード界の神とも革命家とも呼ばれています。
全く突然に、ぱっと心が透き通る瞬間がある。
そんな感覚を、スノーボードは僕に何度も与えてくれた。
“ ルーキー ” セージ・コッツェンバーグ
12歳での大会デビュー後、常に上位組に食い込む活躍を重ね、2014年ソチオリンピックにてスロープスタイル金メダルを獲得したセージ・コッツェンバーグ(1993-)。
幼少からスノボ一筋の人生を送って来たセージの、さらなる活躍が期待されています。
ちなみに、好きなのはサーフィンと犬。
しゃがんで、そして、着地した。
だから、かなりいかしてる。
“ 空飛ぶトマト ” ショーン・ホワイト
cc-by-sa-2.0|Veronica Belmont
トリノ、バンクーバーオリンピックでの2連覇を成し遂げ、スノーボード界の頂点に君臨する“空飛ぶトマト”ショーン・ホワイト(1986-)。
『赤毛でジャンプするからトマト』という安直なあだ名にもめげず、スケートボードの世界的大会でも数々の優勝歴を重ね、ゲームソフトの監修やバンド活動でも知られ、ガンダムと温泉が好きというエピソードで日本人の心をググッと引きつけます。
しかし、驚くことに、そんなショーン・ホワイトの言葉に見えるのは、スノーボードと一定の距離を置こうとする姿なのです。
スノーボードは難しい、なぜなら山へ登らなくちゃいけないから。僕がスケートボードを好きなのは、家にいながらでも出来るから。スノーボードするために、ノルウェーとか日本とかクレイジーな場所に行く必要はないんだ。
クレイジーな場所:「ノルウェーとか日本とか」
夏はスケートボードで世界制覇していました。
もし毎日同じシリアルを食べていたら、そのうち飽きてしまう。
もし僕が毎日スノーボードのことを考えていたとしたら、もっと早いうちに止めていたと思うよ。
これが、プロに学べる生活の緩急の付け方でしょうか。
スノーボードというスポーツがかなり好きだけど、それについては決して話したくない。
「好きなんだけど、話したくない」
恋する少年の心を代弁するようです。
プロの言葉から見えてくるのは、スノボを愛する心だけでなく、職業としてのスノボと向き合うごく私的な姿勢です。
好きなことで生きていくための独特の“呼吸法”ともいえる感覚があり、“根性”という言葉に盲目にされることなく生き方を真剣に考えるショーン・ホワイトの姿が特に印象的です。
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