強い寒気を感じたり、恐ろしい思いをしたりすると、体の毛穴がびりびりと引き締まって”鳥肌が立つ”なんて言いますが、本物の鳥の皮のように細かい突起が現れるので面白いものです。
タレを絡めて、炭火にかざして、こんがり焼けたところでもう一度タレを絡めて食べれば美味しそうだな、と想像するのは筆者だけでいいのですが、本題は新しい焼き鳥メニューについてではありません。
数千年後に10月末のハロウィンについて、何か書けることはないかと探していると、いつの間にか”鳥肌”について詳しくなってしまっていたので共有します。
結論からいうと、“鳥肌”は世界平和へのキーワードじゃないんじゃないかと、そんな可能性を肌にひしひしと感じたという話です。
あなたはガン派?それとも家禽派?
“鳥肌”についての知識なら右に出る者はいないと言われるウィキペディア氏によると、世界の”鳥肌”は大きくガン派と家禽(かきん)派に分けられます。
水曜の夜に突然「鳥肌はガン派と家禽派」とふっかけられても困惑するだけでしょうから、”鳥肌”について2点の重要事項をおさらいしておきましょう。
【”鳥肌”について2点の重要事項】
1. 鳥肌(とりはだ)とは、寒さや恐怖、あるいは不快感などに反応して、皮膚の毛穴が強く閉じられ、鳥の毛を毟った痕のような細かい突起が出る現象。立毛筋の収縮でおこる。関西地方では「さぶいぼ」(寒くて出るイボの意味)ともいう。(日本でご活躍中のウィキペディア氏より引用)
2.地球上のだいたいみんなが経験している。
上を踏まえてもう一度、世界の”鳥肌”は大きくガン派と家禽(かきん)派に分けられます。
ガン(雁、かり)とは、カモ科の水鳥で、最も親しみのある仲間はガチョウです。イギリスの童話「マザーグース」やグリム童話なんかにもたくさん登場します。
“Goose Bumps”もしくは” Goose Pimples”、英語ではそう表現されますが、これは”ガンのこぶ、ぼつぼつ”という意味です。
日本の”鳥肌”とは比べ物にならないほど具体的な表現です。鶏やアヒルではダメだということです。”ガン”でなければピンと来ないということです。まぎれもなくガン派です。
しかし、英語だけではありません。ドイツ、スウェーデン、アイスランド、ギリシャ、イタリア、ロシア、ウクライナ、チェコ、ハンガリー、ノルウェーなどなど、実に多くのヨーロッパ各国で”鳥肌”の鳥は、ただの鳥ではなく、まさしく”ガン”でなければいけないなのだと主張されています。
ならば世界でガン派が優勢なのかと思いきや、実はそうではありません。
家禽派、つまりガン以外の飼育されている鳥派の勢力も無視できるものではないのです。例えば、スペイン、ポルトガル、フランスなどの西欧諸国では”雌鶏(めんどり)の肌”と表現され、中国やエストニア、韓国では”ニワトリの肌”、さらにヘブライ語ではカモなど、例はいくらでも出てきます。
それぞれの言語圏で最も身近な家禽を例えにした、と考えられています。
世界には6909の言語が話されていると言いますから、おそらく鳥類以外の肌で鳥肌を表現する例もあるかもしれません。
しかし、(あらかじめ準備しておいた結論に結びつけるために)ここは「世界の”鳥肌”は大きくガン派と家禽(かきん)派に分けられる」ということで納得することにしましょう。
”鳥肌”による世界平和のために
想像してみてください――・・・・・・
あなたが冬の厳しい寒さに震える時、見るべきじゃなかったホラー映画に涙を流しているその瞬間、世界中の人があなたの”鳥肌”に共感しているのです。
文化、言語、歴史、思想――争いの理由にされる様々な違いをものともせず、あなたの”鳥肌”は何千里すら瞬く間に飛び抜け、地球の反対側の見知らぬ誰かに笑いながら共感されるのです。
どれほどの違いがあると思っても、あなたの“寒さや恐怖などに反応して、立毛筋の収縮する現象”は、”ガンもしくはその他の家禽の肌”という連想を通じて世界中とつながっているのです。
だから、「“鳥肌”は世界平和へのキーワード、糸口になるのだ」と、そんな鳥肌が立つほどサムいセリフを筆者はごく真面目に叫ぶのです。
でも、だいたい日本語の”鳥肌”の鳥ってなんですか? Birdですよ? 守備範囲広すぎませんか? “小物入れ”並みに雑ですよね?
日本人が”鳥肌”の曖昧さを改めない限り、世界平和は実現しないと思います。はい。
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