ギタリストやシンガーと比べると、一見地味なドラマー。
だいたいいつもバンドの奥に引っ込んで、色々な音を出してるみたいだけど、ドラムのリズムだけが思い出されることはなかなかありません。
しかし、あなたの好きな音楽から、試しにドラムの刻むリズムを省いてみたらどうでしょうか?それまで聴いていた曲とは似ているようで違う、いまいちしっくり来ない音楽が聴こえてくるはずです。
ドラムのない音楽は、背骨のない人間のようなもの。なんとなくふにゃふにゃして、歩く方向も定まらず、いわゆる“芯”を欠いたものです。
今回は、音楽の芯を作る職人、ドラマーと呼ばれる人々の名言を7つほど集めてみました。
シンガーは蝶、ドラマーは毛虫になろうとして地面を這う毛虫
By Helena Dornellas CC BY-SA 3.0
イギリス出身のミュージシャン、ロバート・ワイアットの言葉。
サイケデリックバンド“ソフト・マシーン”のドラマーとして、また、下半身不随を負う転落事故後の、ソロ活動によって知られています。
残念ながら2014年に音楽創作活動停止を発表しましたが、シンガーの華やかさとドラマーの地味さを対照するこの名言は語り継がれてゆくことでしょう。
ドラマーは旋律なんて気にせずに、じっと後ろに座ってドラムを叩くべき
アメリカ出身のミュージシャン、バディ・リッチの言葉。
長時間、かなり細かなリズムを寸分たがわず刻み続ける“超絶技巧”でもよく知られ、ビッグバンドジャズの発展に貢献したことでも有名です。1歳の時からドラムスティックを握り続けた彼のドラム哲学は、落ち着いて洗練されているようです。
もしも連れと息が合わないなら、二人とも別々のドラマーを聴いているのかもね
“F 015 Luxury in アメリカの作家ヘンリー・デイヴィッド・ソローの言葉。
2年2カ月の自給自活生活をつづった「森の生活」で有名なソローはドラマーではなく作家ですが、人間関係のズレを根底に流れるリズムの違いに求めました。
実はこの言葉の前にはこんな一文がついています:「どうして私達はみな絶望的に成功を急ぎ、大事業を行わなければいけないんだ?」
生涯に渡って社会との自分の関係について考え、44歳に若くして亡くなったソローの言葉には、あくせく生きる現代人への大切な知恵がありそうです。
もう昔の人気ドラマーとしては叩けない。けれど、それでもかまわないんだ。なぜなら、もしもドラムスティックを上手く握れなくなったとしても、例えばパンとかチーズを切るとか、人生にはもっと大切なことがたくさんあるからね。
By Dicknroll - Own work, CC BY-SA 3.0
イギリスのミュージシャン、フィル・コリンズの言葉。
シングルとアルバムで1億5000万枚の総売り上げを誇る偉大なミュージシャンである彼は、人気絶頂の90年代には「世界で一番忙しい男」と呼ばれたこともありました。
彼の残した言葉には、人気ドラマーと父親、2つの役割のバランスを取ろうとした彼の人間味が溢れています。
僕はドラムセットを手に入れる前からドラマーを名乗っていたよ。メンタルドラマーだったんだ。
By Keith_Moon_4_-_The_Who_-_1975.jpg: Jim Summariaderivative work, CC BY-SA 3.0,
イギリスのドラマー、キース・ムーンの言葉。
32歳に短い人生を終えるまで、ビートルズやローリング・ストーンズと並んで評されるザ・フーのドラマーとして活動。
2010年にローリング・ストーン誌において、史上最高のロックドラマー第3位に選ばれました。
キース・ムーンの言葉は冗談のようにも聞こえるかもしれませんが、かなえたい夢を持つ人の背中を押す力も持っていることでしょう。
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