宝くじは世界各国で愛されていて、当たらないとは思いながらもついつい買ってしまうものです。
特に一等に億がついていると、「最近ついているから、もしや・・・」なんて思ってしまう方も多いんじゃないでしょうか。
西ヨーロッパの王国スペインの国民も例外ではなく、年末恒例の宝くじエルゴルドの時期が近づいてくると、スペイン国民はそわそわしてきます。
どうしてでしょう?
そこには、盛り上がるほか仕方がない理由があったのです。
当選金額がえげつない
宝くじの当選金額は、くじの販売金額の一部で賄われますが、賄うために利用される割合を払い戻し率といいます。
日本国内でのほとんどの宝くじの払い戻し率は50%以下で、世界基準で見ても標準的ですが、スペインの年末宝くじの払い戻し率は次元が違います。
スペインの年末宝くじの払い戻し率はなんと70%なのです。たった20%の違いと感じてしまいますが、約4兆円分のくじが売れた2015年のエルゴルドを例に違いを見てみましょう。日本では最高の払い戻し率50%では、合計当選金額は2兆になりますが、払い戻し率70%のスペインの年末宝くじでは、合計当選金額2兆8千億になり、8千億(ほぼ1兆)もの違いがあるのです。
ちなみに、国民の80%近くが購入するというのですから、販売額が格段に落ちることもそうそうないでしょう。
1等が同じ地域のたくさんの人に当たる?
通常の宝くじとは異なり、スペインの年末宝くじの1等(通称エルゴルド)に当選する人は1人だけではないのです。
その理由は同じ番号が複数存在しているから。
つまり、1等の番号は1つで、同じ番号が同じ地域(近隣)にまとめて配られるのですから、あなたが1等に当選すれば、お隣さんもみんな一緒に当選しています。
1等当選金額は2016年は1本につき4千万円で、それほど高くはないですが、2011年には人口2000人の村で1800本の1等、総額720億円がその村と近隣その人たちに恵まれた計算になります。
ちなみに、チケットの最低販売価格は2千円とそれほどお手軽ではないですが、購入者の70%は当選すると言われているので、年の瀬の奇跡を狙って国民の80%が購入するというのにも頷けます。
盛り上げ方もえげつない
宝くじの当選番号発表はテレビ中継で行われ、3時間近くは続きます。
期間中は、ニュースも大事な選挙の速報かと思うほど宝くじ情報で埋め尽くされ、スペインの最大級のニュースサイトEL PAÍSでは、宝くじ以外のニュースを読むためにはだいぶスクロールしなければいけません。
elpais.com
2人1組の幼い子供が、まるで歌うように当選番号を高い声で読み上げるという仕掛けも、なんとも面白い伝統です。
最も盛り上がるのはもちろん最後のエルゴルド(1等)発表の瞬間。スペインの(ほぼ)全国民がくじを片手に、固唾を飲んで待ち望みます。
1年に1度の淡い夢、隣人と肩を組んで見てみるのも素敵なものですね。
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