出典:AgoraVox
舞台はイタリア北東部、水の都ヴェネツィアよりもさらに北に30km、中世の宗教建築に恵まれたトレヴィーゾ県のもっともっと北のとある森の中――
ここに、先日“手作りの遊園地”が開園されたと話題になっている。
イタリア全土からわざわざたくさんの観光客が訪れるとも聞く。
そんなに話題なら、よほど目新しいものにあふれた遊園地なんだろうと想像するも、実際に目にするのは、何の変哲もない普通の遊園地。控えめに言っても、ひと昔前という印象すらある。
出典:AgoraVox
けれど、40年以上かけ、たった1人の男性によって完成された、電気を一切使わない“手作り遊園地”と聞けば、そのクオリティの高さに驚くはずだ。
50の遊具が電気なしで動く
出典:idealista
とある田舎町、とある森の中、常に響くのは楽しそうな笑い声。
大人も子供も一緒になって、時間を忘れて夢中になるのは趣向を凝らしたたくさんの遊具だ。
巨大滑り台、観覧車、ジェットコースター・・・全部で約50の遊具が人々を楽しませるが、奇をてらった工夫がしてあるわけではない。巨大滑り台は、自分で丘を駆け上がって滑り降りる仕組みだし、ジェットコースターは、前へ後ろへを繰り返すだけで、1回転したりくねくね曲がったりもしない。
出典:AgoraVox
出典:idealista
全てが素朴で、懐かしい、地元の遊園地といったところだろうか。
ちょっと南に下れば、ヴェネツィアもあるし、ミラノもある。近代的で、新しくて、おしゃれで、楽しいものなんていくらでもあるはずだ。
それでも人々がこの遊園地に足を運ぶのは、全ての遊具が電気を一切使わずに動くからかもしれない。忙しさを忘れて、森の中で思う存分笑えるからかもしれない。子供は自然を学び、大人は自然を思い出すからかもしれない。
もしくは、その全てかもしれない。
レストラン経営の合間を縫ってコツコツと
出典:aipioppi.com
手作り遊園地を披露したことで一躍有名になったのは、ブルーノ・フェリンさん、80歳。
約50年前この森にやって来たブルーノさんの持ってきたのは、テーブルと椅子とほんのちょっとのソーセージとワイン。仕上げに”オステリア・ピオッピ”と書かれた看板を木にたてかけ、小さな森のレストランが生まれた。
地元料理を扱った小さなレストランは徐々に人気を得て、県外からもお客さんが来るようになった、1969年のある日のこと。
出典:Youtube
「とても美しい日だった」とブルーノさんは語る、「枝が落ちる、葉っぱが散る、鳥が羽ばたく、石が転がる・・・あっ、この動きを使えるんじゃないだろうか?」
手作り遊園地を作るという思いつきは、まさにこの瞬間におりてきた。
出典:Youtube
レストラン経営に忙しく追われながら、休日や閉店後を利用してコツコツとたった1人で作業を続けたブルーノさん。来る日も来る日も工房にこもり、思い通りの作品が出来上がるまで納得しなかった。ただ情熱のおもむくままに仕事をしたという。
出典:Youtube
「昼、祝日も営業。もしいい天気だったら」
47年後、自らの手で作り上げた遊園地を前に立つ。
たくさんのお客さんの笑い声に囲まれて、ブルーノさんは満足そうに笑う。
出典:Youtube
参考
遊園地公式サイト:http://aipioppi.com/osteria-2/
Youtube:https://www.youtube.com/watch?v=Kf1YJ8qFCrY
|